創業支援とは
中小企業等経営強化法では、新たに中小企業として創業する事業主をバックアップすることを目的として「創業支援」に関する項目が規定されています。具体的には中小企業等経営強化法で規定されている創業支援とはいったいどんなものなのでしょうか。
主な内容をご説明いたしますと以下の3点です。
1.これらかの事業を開始しようとする個人若しくは創業5年以内の事業者に対して中小企業信用保険や中小企業投資育成株式会社法の特例を積極的に活用することで事業資金の融通を支援すること。
2.エンジェル税制を利用し、個人投資家からベンチャー企業への投資を促進させること。
3.更に最低賃金規制の特例を継続することで創業を幅広く支援すること。
これだけでは少し分かりにくいと思いますのでそれぞれの政策について個別に説明していきましょう。
①中小企業信用保険とは国が100%出資している中小企業信用保険公庫が保証人となることで中小企業の事業資金融資を受けやすくするための制度です。信用力の低い中小企業は創業資金を金融機関から融資してもらうのは中々難しいという現実があります。そこで、信用力を上げるために政府の下部組織が保証人となり、金融機関からの事業資金融資を受けやすくするというのがこの制度のあらましとなります。また、中小企業投資育成株式会社法の特例とは通常、中小企業投資育成株式会社の事業対象となるのは資金額が3億円以下の企業に限られるのですが、承認経営革新計画書を提出し、それが承認されると特例として資本額が3億円以下の企業であったとしても中小企業投資育成株式会社の対象になるという制度です。
中小企業投資育成株式会社とは、中小企業の自己資本比率を上げて健全な成長発展を図るために中小企業に対して投資等の事業を行うために設立された株式会社のことを言います。中小企業投資育成株式会社法では該当する投資育成株式会社が適正かつ公正に運営されるための様々な事柄が規定されています。
②エンジェル税制とは、ベンチャー企業への投資を促進させることを目的として個人投資家がベンチャー企業への投資を行った場合、税制上の優遇措置を受けることができるという制度になります。
③最後に「最低賃金規制の特例」についてですが、これは国が規定する最低賃金を一律に適用することで雇用機会を狭めることを回避するために特定の労働者について事業主が都道府県労働局に届け出を出し、管轄する労働局長の認可を得た場合に特例として最低賃金の減額が認められるという制度となります。
いずれも中小企業やベンチャー企業が創業する上での資金援助を目的とした制度ですが、従来これらがバラバラの法律で規定されていたものを「創業支援」の名の下に中小企業等経営強化法として総括されたのが同法の「創業支援」事業または制度に該当します。